1 安全運転管理者制度のあらまし

  • 事業所での安全運転の確保を図ろうとする制度です。
  • 道路交通法は、安全運転の確保に必要な業務を行う者として、事業所において資格要件を備える者のなかから、安全運転管理者を選ばなければならないとしています。

2 安全運転管理者の役割

  • 安全運転管理者は、道路交通法に基づく、事業所での安全運転の確保に必要な業務を推進するという大変重要な役割を負っています。運転者の健康状態の把握から、車両の状態、天候に至るまで、安全運転に関わること全てを取り扱います。また、安全運転確保のためであれば、乗務禁止などの権限を行使できる権利・義務があるものです。
  • 安全運転管理者は、その重要な役割を自覚し、専門家として自己研鑽に勤しみ、管理する運転者に対して、正しい指導、適切な訓練、注意深い監督等に努めなければなりません。
  • 事業所によっては、安全運転管理者が権限を行使するための権威を事業主から与えられなかったり、従業員の理解がなく協力を得られないなど、形だけになっている例もあるようです。事故を防止して損害を軽減し、企業の社会責任を全うするには、安全運転管理者制度の適切な運用が是非とも必要です。

3 安全運転管理者の選任

  • 事業所においては、法定基準数以上の自動車台数を使用する本拠ごとに(自動車運転代行業者は、同業の営業所ごとに)、規定の資格要件を備えた安全運転管理者と副安全運転管理者を置かなければなりません。

安全運転管理者を置かなければならない自動車台数とは、乗車定員11人以上の自動車(いわゆるマイクロバス)では1台以上それ以外の自動車では5台以上
二輪(50cc以下を除く。)では10台以上(0.5台として計算) 
安全運転管理者に加えて、自動車の台数が20台以上の場合は副安全運転管理者を置かねばなりません。(運転代行業は異なります。)→項目5を参照

4 安全運転管理者の資格要件

  • 20歳以上。ただし、副安全運転管理者を置かなければならないところでは、30歳以上。
  • 2年以上の運転管理の実務経験があること。(例外があります。)
  • 過去2年以内に公安委員会から安全運転管理者・副安全運転管理者の解任命令を受けていないこと
  • 過去2年以内に次の違反行為をしていないこと。

ひき逃げ・酒酔い運転・酒気帯び運転、飲酒運転に関して車両等を提供する行為、酒類を提供する行為、依頼・要求して同乗する行為、麻薬等運転・無免許運転・自動車使用制限命令違反
下命又は容認(酒酔いや酒気帯び運転・麻薬等運転・過労運転・無免許運転・無資格運転・最高速度違反運転・積載制限違反運転・放置行為)

5 副安全運転管理者の資格要件

  • 運転管理の実務経験が1年以上とされていること、自動車の運転経験が3年以上以外は、安全運転管理者と同じです。

副安全運転管理者を置かなければならない自動車台数とは、自動車運転代行業では、10台以上の場合1名置かなければならず、更に10台増えるごとに1人ずつ増やさなければなりません。
 自動車運転代行業以外では、20台以上でよく、更に20台増えるごとに1人を加算することとなります。

6 安全運転管理者の業務

  • 安全運転管理者は、国家公安委員会が定める「交通安全教育指針」に従っての安全運転教育や、道路交通法施行規則で定める安全運転管理業務を行わなければなりません。道路交通法施行規則の内容は、次のとおりです。
    ・運転者の状況把握
    ・安全運転確保のための運行計画の作成
    ・長距離、夜間運転時の交代要員の配置
    ・異常気象時等の安全確保の措置
    ・点呼等による安全運転の指示
    ・運転日誌の記録
    ・運転者に対する指導
    ・酒気帯びの有無の確認
      運転しようとする運転者及び運転を終了した運転者に対し、酒気帯びの有無について、

      当該運転者の状態を目視等で確認するほか、アルコール検知器(呼気に含まれるアルコールを
      検知する機器であって、国家公安委員会が定めるものをいう。)を用いて確認を行うこと。 
    ・酒気帯びの有無の確認結果の記録と保存
      酒気帯びの有無を確認した内容を記録し、その記録を1年間保存すること。

7 安全運転管理者等の選任などの届出義務

  • 事業所において、安全運転管理者及び副安全運転管理者を選任する場合はもとより、変更、解任したり、事業所の廃止など安全運転管理者の選任が必要でなくなった場合などは、事業所の所在地を管轄する警察署(奈良署は交通第一課、その他の署は交通課)に届出手続きを行い、公安委員会に届け出なければなりません。
    届出手続き・届出用紙等は画面右側からダウンロードできます。